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栗ちゃんのお馬歳時記〈1〉
2007-07-12 Thu 10:09

よくあること

 競馬を楽しんで30年になる。今は何のためらいもなく「趣味は競馬」といえるご時世になったが、昔は少々勇気がいったものだ。
 競馬場もしかり。年に数回、馬仲間と府中や中山に遠征するが、学生や若い女性があふれ、コンサート会場のような現代の競馬場は、オールドファンには居心地が悪い。緊張感がないからである。
 競馬場は、どんなに明るく、きれいになっても所詮、博打場である。生活の腐臭と背徳の匂いがなければ、胸は騒がない。
 そこで30年前の、あのザワザワとした緊迫感を味わおうと、今も多分に鉄火場の雰囲気が残る宇都宮競輪に行ってきた。
 100円の入場料を払い、場内に入る。洗いこんだポロシャツに膝の抜けたズボン、サンダル履き。伝統のスタイルは健在だった。赤競、青競(予想紙)に見入る姿はロダンの彫像を思わせ、他を寄せ付けぬ雰囲気がある。若者はほとんどいない。
 乾いているのに、重い空気。聞こえてくるのは予想屋の声だけだ。だいぶ薄まってはいるが30年前の、あの匂いがある。淡々と車券を買い、スタンドへ。それを5レース繰り返した。
 結果は全敗。これは昔も今も、よくあることである。

 上がり馬追って
    越後の祝い酒
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